腐朽やシロアリ被害から住宅をどう守る? さらなる品質向上を目指してピースホームの新たな取り組み
腐朽やシロアリ被害から住宅をどう守る? さらなる品質向上を目指してピースホームの新たな取り組み
- 現場レポート
- Initiative
取材・執筆:有住 裕里 / 撮影:青野 寿都
編集:有住 裕里
公開:2024年6月27日
Index
ランバー宮崎協同組合とは
モノづくり企業のあるべき姿
品質向上の新たな取り組み
神は細部に宿る
2024年4月、ピースホームのスタッフが、宮崎市高岡町にある木材プレカット工場「ランバー宮崎協同組合」様を視察しました。今回は、視察の目的と視察を経てスタートした新たな取り組みについて話を伺いました。
ランバー宮崎協同組合とは

―ランバー宮崎協同組合とはどんな企業ですか?
青野
同社は、宮崎県内の木材関連会社が出資して1995年に設立された企業です。木材のプレカット加工や木材保存処理が主な業務です。
―「プレカット」「木材保存処理」とは何ですか?
青野
建築関係者でないとあまりなじみがない言葉かもしれません。木造建築物の要となる木材をデータに従って長さ・幅・高さなどを正確に測定し、部品化することをプレカットといいます。保存処理とは、木材に薬剤を注入して腐りにくくしたり(防腐)、シロアリや害虫の食害を受けないようにすること(防蟻)です。ピースホームで使用している木材のプレカットや保存処理は、同社に依頼しています。
モノづくり企業のあるべき姿

―今回の視察の目的は?
青野
目的は2つありました。1つめはスタッフ教育の一環として。若手社員が増えてきたので、家造りの流れやどのような人々が携わっているのかを体感し、理解してもらいたいと考えました。家造りは、知識を身につけただけでは表面的でしかありません。深掘りしていくと、それだけでは限界があることに気づかされるでしょう。モノづくりをしている企業のスタッフがそれではいけないと思っています。ピースホームスタッフには、お客さまから一生に一度の大きな買い物を任されるにふさわしい知見を持ってもらいたいと思いました。
2つめは、より良い住宅を生み出すための方法を議論するためです。木材加工のプロフェッショナルに意見をいただき、私たちが造っている住宅をさらに進化させていきたいと考えました。
―スタッフ自らがより良い住宅を造るための方法を探すというのは珍しいですね。
青野
そこが地元に密着した工務店の強みでもあり、ピースホームというブランドの強みでもあります。ビジョンに掲げている「家族がずっと笑って暮らせる住まいを造る」という想いを、スタッフが無意識に考えているからではないかと思います。実際に今回の視察は強制参加ではなく希望参加でしたが、全部門から多くのスタッフが意欲的に参加してくれています。また、既存の業界常識に疑問を持つということは、会社の成長サイクルを回していくにあたって大切な要素です。スタッフには、質の高い問いを積極的に投げ掛けてもらいたいですし、私としては問いの答えが見つかるようにさまざまな体験の機会を設けていくべく、声を上げていきたいと考えています。
品質向上の新たな取り組み

―今回の視察を機に、新たに取り入れたことはありますか?
青野
はい。新たに乾式注入という木材保存処理(防腐・防蟻処理)が採用されました。乾式注入を説明する前に、まず保存処理について説明しますね。保存処理には、表面処理と加圧注入処理の2つがあります。表面処理は、木材表面に刷毛やローラー等で高濃度の薬剤を塗布するだけの方法です。この方法は、メンテナンスなどには最適ですが、処理材の表面にしか薬剤が存在しないため、乾燥などで木材が割れた場合や加工などを施した場合に、木材腐朽菌やシロアリなどの被害を受ける可能性があります。そのため、加圧注入処理と比べると高い効果を持つとはいえません。

一方で、加圧注入処理は、処理装置内に木材を入れて減圧・加圧処理を行い、薬剤を注入する処理方法です。薬剤の木材に浸透する量が多く、ムラが少ない製品ができるため、木材の保存処理方法として世界的に採用されています。また、この処理方法は日本工業規格 JIS A 9002 木質材料の加圧式保存処理方法に準じて行うため、信頼性の高いものです。ピースホームは、この加圧注入処理を昔から採用しています。

―なるほど。加圧注入処理はより腐りにくく、シロアリ被害のリスクを減らせるということですね。
青野
そうです。そして、加圧注入処理にも湿式注入と乾式注入の2つがあります。ピースホームでは、これまで湿式注入を採用していましたが、有効成分の薬剤を水に溶解した作業液で処理を行うため、処理後の含水率が増加し、寸法変化が起きるという課題がありました。そのため、処理後に再乾燥や再加工を施す必要があり、時間のロスにもつながっていました。
そこで、今回新たに採用したのが乾式注入です。乾式処理は、水を一切使用しないため、木材の欠点である曲がりや反りなどの寸法変化がほとんど起きません。つまり品質がさらに高くなるということです。さらに、湿式注入と比較して重量も軽いため、作業効率もUPします。
補足ですが、薬剤と聞くと環境への影響はどうなのか?気になる方もいらっしゃると思います。乾式の特徴として、有害な金属であるヒ素やクロムなどを含まないため、周辺環境を汚染する心配がありません。乾式処理木材を焼却しても、焼却灰中に有害な金属元素が残ることもなく、焼却ガスの発生もないため、通常の木材のように焼却処分することができます。また、従来の薬剤と比較すると約10分の1程度の量で効果が得られるため、環境への負荷も最小限に抑えられます。
※2024.9月より、さらなる品質向上のため檜の土台を標準採用しています。
神は細部に宿る

―奥が深いですね。木材にそのような処理方法があることは知りませんでした。
青野
木材保存処理について一般の方が知る機会は滅多にないのではと思います。住宅建築業界では、耐震性・断熱性・気密性などの性能に関するワードが主流で、これらがどれだけ他社より優れているかをお客さまにアピールすることに必死です。そのため、木材保存処理についてお客さまに説明する企業は多くありません。宮崎県では、乾式注入を使っている住宅会社はとても少ないのが現状です。「神は細部に宿る」という言葉がありますが、家族がずっと笑って暮らせる住まいを創造し続けるためにも、ピースホームではこのように細部にまでこだわった家をスタッフと共に積極的に考え、提供していきたいと考えています。