プロが自邸で「耐震等級1」を選んだ理由。数字だけでは測れない、地震に強い家づくり | 宮崎で注文住宅 新築一戸建てを建てる工務店 ピースホーム

プロが自邸で「耐震等級1」を選んだ理由。数字だけでは測れない、地震に強い家づくり

プロが自邸で「耐震等級1」を選んだ理由。数字だけでは測れない、地震に強い家づくり

取材・執筆:田代くるみ / 撮影:青野 寿都
編集:青野 寿都

公開:2026年5月29日

プロが自邸で「耐震等級1」を選んだ理由。数字だけでは測れない、地震に強い家づくり

Index

■プロが下した「耐震等級1」という決断の背景
■数字を追わないことで手に入れた「暮らしの豊かさ」
■「同じ耐震等級3でも質が違う」ピースホームが大切にしている構造の考え方
■ガチガチに固めるより、しなやかに受け流す「耐震1+制振」の合理性
■性能の数字に振り回されない、本当に納得できる家づくりのために

住まいづくりにおいて「耐震等級3(最高等級)」の取得は、今や一種の常識のように語られています。ピースホームでも耐震等級3を標準仕様とした商品を取り扱っており、さらに制振装置「MIRAIE(ミライエ)」や「ダイナミックファスナー」を導入した最高峰の耐震住宅を手掛けています。

しかし、大半の方が「等級3」を選ぶこの時代に構造の仕組みや現場の裏側を知り尽くしたプロたちが、あえて「耐震等級1」を選ぶとしたら、そこにはどのような合理的な理由があるのでしょうか。

今回は、現在まさに自邸の建築を進めているピースホームのスタッフ3名による座談会を開催しました。10年以上のキャリアを持つベテラン設計士、お客様の窓口となるアドバイザーと営業。プロである彼らが、なぜ数字上の最高等級を追わず、耐震等級「1」を選択したのか。その決断の裏にあるピースホームの構造の地力と、本当に豊かな暮らしの本質に迫ります。

 

今回の対談者プロフィール


 

■プロが下した「耐震等級1」という決断の背景

耐震等級採用率

ピースホームでご建築いただいたお客様の耐震等級3の採用増加率

——今回は「プロの皆様が、ご自身の家を建てるにあたって『耐震等級1』を選んだ理由」について本音を伺います。世間では「耐震等級3でなければ不安だ」という風潮も強いですが、なぜ「1」を選択されたのでしょうか。

中原:一番の理由は「費用」と「暮らしの優先順位」のバランスです。耐震等級を1から3に引き上げるだけで、場合によっては100万円前後、あるいはそれ以上の費用がかかってきます。私たちは日頃からピースホームの現場を見ており、等級「1」でも一定の強さがあると現場や設計を見て感じているため、その予算を他のこだわりたい場所に回した方が暮らしの幸福度が上がると判断しました。

岩山:建築士の視点から言うと、現在の建築基準法において「建築確認申請」をクリアすること自体が、すでに「耐震等級1」を満たしています。つまり、等級1は、建築基準法で求められる耐震基準を満たしている状態です。

一方で、耐震等級3相当の構造性能を有していたとしても、第三者機関による住宅性能評価を取得していなければ、正式に「耐震等級3取得」と表記することはできません。あくまで「耐震等級3相当」という表現になります。

お客様の住宅については、第三者機関による評価書までしっかり取得し、正式な「耐震等級3」を取得しています。

そのうえで、私たち社員の自宅については、ピースホームの構造仕様や施工品質を熟知しているからこそ、建築基準法レベルの耐震性能でも十分安心できると判断しているのだと思います。

また、私自身は平屋を計画していますが、地震時の振れ幅も小さくなります。構造のバランスを適切に設計すれば、あえて申請費用や部材を足してまで等級を上げる必要性は低い、構造の仕組みに長年携わってきた建築士ならではの思考ですね。

坂元:私は心配性なタイプなので、まずは「土地探し」において津波の影響を受けない高台のエリアを選ぶことで立地的な安心を確保しました。その上で、ピースホームの構造の強さを現場で何度も確認していましたから、等級1という選択をしました。また、私の場合は「工期」の面も大きな理由です。

——等級を上げることによって、工期にも影響が出るのですか?

坂元:はい。耐震等級3を取得するとなると、第三者機関による複雑な構造計算の審査や申請手続きが必要になります。等級3を取得しない建物と比べて、着工までに1~2か月、場合によってはそれ以上の時間を要するケースがあります。「できるだけ早く建てて、新しい生活を始めたい」という希望があったため、着工までの期間を短縮できることもメリットでした。

 

■数字を追わないことで手に入れた「暮らしの豊かさ」

——耐震等級の数字をあえて追わなかったことで、具体的にどのような空間を実現できたのでしょうか。

岩山:最大のメリットは、間取りや空間の「自由度」です。耐震等級を3に引き上げようとすると、計算上必要な箇所に「耐力壁」や柱を配置しなければならないケースがあります。そうすると、「大きな窓を設けて開放感を出したい」「引き戸にして空間を緩やかにつなげたい」と考えていても、計算をクリアするために壁やドアへの変更を余儀なくされるケースがあるのです。

——計算上の数字を満たすために、本来の間取りが制限されてしまうのですね。

岩山:その通りです。大きな空間をつくろうとすると、計算上、天井裏に50〜60センチほどの梁(はり)が必要になるケースもあります。それによって天井高が低くなったり、窓の上に大きな梁が来てカーテンボックスをスッキリと掘り込めなくなったりするのです。等級1であれば、そうした制約を受けにくく、フラットな状態から理想の間取りを考えやすくなります。

中原:私の家の場合、「等級3」を必須条件にしていたら、現在の間取りはかなり難しかったと思います。私は開放的な「2階リビング」を採用し、広いテラスデッキへとつながる空間にもこだわっています。さらに室内には螺旋階段を設置し、趣味であるプライベートサウナにも予算を配分しました。

——自宅にサウナですか。それは驚きです。

中原:いつ来るか分からない災害のために壁を増やして空間を狭め、予算を使い切ってしまうよりも、自分が本当にやりたいことを叶える方が、私にとっては価値があると感じました。私の場合、それがサウナのある暮らしでした。

坂元:私はキッチンの天井に照明を掘り込み、ダウンライトの器具が点々と見えない、スッキリとした美しい天井面をつくることにこだわりました。これも構造上の制限があれば諦めなければならなかったポイントです。また、浮いた予算を室内のフロアタイルのオプションや外構、庭で家庭菜園を楽しむための費用に充てることができ、こだわりを反映した家づくりが進んでいます。

 

■「同じ耐震等級3でも質が違う」ピースホームが大切にしている構造の考え方

——皆様が「等級1でも十分に安心だ」と考えられるのは、やはり「ピースホームの家だから」という前提があるのでしょうか。

岩山:そうですね。もし私がピースホーム以外の住宅会社で自邸を建てるのであれば、間違いなく「耐震等級3」を取得していました。

——会社によってそれほど判断が変わるものなのですか。

岩山:それが全く違うのです。実は、同じ「耐震等級3」というカテゴリーであっても、その中身や計算の突き詰め方には大きな差があります。ピースホームでは、たとえ等級1の建物であっても、自社で構造のバランスや耐力を確認しています。そして大きな違いは、標準仕様として使われている部材や建材のクオリティ、つまり標準仕様の時点でどこまで構造に配慮しているかにあります。

例えばピースホームでは、建物の外周部に地震の揺れに強いボードを、最初から標準仕様として施工しています。しかし、私がこれまで経験してきた住宅会社では、予算に応じてこのようなボードを「付けるか、付けないか」をお客様自身に選んでもらうシステムでした。このように、お客様に「付けるかどうか」を選んでもらうのではなく、最初から標準仕様として入っている。スタートラインの時点で会社としてのポリシーや、どこに注力しているかが全く異なるのです。

——ピースホームの設計は、開放的な大空間をつくる傾向がありますよね。これはどうして実現できているのでしょう。

岩山:柱の数を抑えながらも構造面に配慮できているのは、必要な箇所には適切に柱や壁を追加し、会社として施工や確認の流れが標準化されているからです。日々その現場を見ているからこそ、私たちは等級の数字だけに頼らなくても、構造面で納得できる家づくりができると感じています。

 

■ガチガチに固めるより、しなやかに受け流す「耐震1+制振」の合理性

——「構造の本質的な強さ」がベースにあるからこその選択なのですね。ただ、皆様、耐震等級は1に留めつつも、「制振装置」は導入されているのでしょうか。

MIRAIE

熊本地震でも全壊・半壊0の実績を誇る制振装置MIRAIE

中原:はい、実は3人とも自邸にしっかりと制振装置を取り入れています。「地震に対して何も対策をしない」という意味で等級1にしているわけではないんです。私は、建物が無理に耐えようとしなくてもいいなと思っていて。揺れそのものが小さくなれば、建物に変な負荷がかかりませんよね。それなら、費用をぐっと抑えられる制振装置を入れる方がいいと考えたんです。

愛知淑徳大学​×早稲田大学×横浜国立大学の教授が共同開発。地震で倒壊する家ゼロを目指し、3大学の教授が共同開発した制震装置ダイナミックファスナー

岩山:構造のバランスを考えたとき、単に「ガチガチに固めればいい」というわけではないんですよね。元々は「耐震」という、固めて耐える考え方が主流でしたが、今の時代は「揺れを吸収する、制御する」という制振の選択肢も広がっています。

制振装置の中には、耐震等級3相当に近い効果を謳うものもあります。等級の数字を追って申請を行うよりも費用を抑えられますし、これなら無理に壁を増やす必要もありません。制振の重要性を感じたからこそ、この組み合わせを選びました。

坂元:私も、耐震等級を取得するよりもコストを抑える方法として制振装置を入れています。物価高でさまざまな費用が上がっている今、お客様の不安は地震だけでなくお金の面も大きいはずです。だからこそ、こうした選択肢の幅を広げる提案が大事だなと感じています。

 

■性能の数字に振り回されない、本当に納得できる家づくりのために

——単に数字としての「等級」を追いかけるのではなく、構造の本質を見極めて賢く選択することが大切なのだと非常によく分かりました。最後に、これから家を建てるお客様へメッセージをお願いいたします。

中原:すべての要素で100点満点を求めようとすると、予算は際限なく膨らんでしまいます。ただ、ピースホームをお選びいただくのであれば、構造や性能に対する過度な心配は一度私たちプロに預けてください。お客様には性能の数字だけで判断するのではなく、「どのような暮らしがしたいか」という、住まいづくり本来のワクワクする部分にエネルギーを注いでいただきたいですね。

岩山:もちろん、「第三者機関による確認を受けた耐震等級3という安心が欲しい」というお客様には、ピースホームが誇る「耐震等級3+制振装置」が、より安心感の高い仕様となります。大切なのは、誰かが決めた一律の基準に縛られることではなく、ご家族のライフスタイルにとって最適な選択肢を知ることです。固定観念を持たずに、私たちと一緒に最適な答えを探していきましょう。

坂元:現在は物価高などの影響もあり、費用面での不安も大きい時代です。だからこそ、私は「数字の等級を上げる」ことだけが正解ではないという選択肢を参考までに知っておいていただけたらと考えています。「予算を賢く抑えながら、地震への備えも考え、できる限り理想のこだわりを反映した家」は、ピースホームなら実現可能です。ぜひ、皆様の理想やこだわりを、私たちにたくさんお聞かせください。