森への無関心をなくす。ピースホームが取り組む地域貢献プロジェクト
森への無関心をなくす。ピースホームが取り組む地域貢献プロジェクト
- 社外共創
- 環境
取材・執筆:有住 裕里 / 撮影:青野 寿都
編集:有住 裕里
公開:2024年8月30日
Index
・森林環境に関する正しい知識を身につける
・プロジェクトを通して意識するようになった「森の大切さ」
・森林保全に取り組むようになったきっかけは地球温暖化
・ボランティアには「楽しさ」も大切
・「正しいことを楽しむ」ことをモットーに持続的な活動を目指す
7月29日、ピースホームは地域貢献活動の一環としてNPO法人「森のライフスタイル研究所(通称:森ライ)」が行っている「木づかいプロジェクト」を実施しました。今回は、青野さんにこのプロジェクトを依頼した経緯や当日の様子を、また「森ライ」の代表理事所長の竹垣英信さんに活動についてうかがいました。
森林環境に関する正しい知識を身につける
木づかいプロジェクトで森林問題の現状についてレクチャーを受けるスタッフ一同
―「木づかいプロジェクト」を実施した経緯を教えてください。
青野
目的は2つありました。一つは地域貢献活動としてボランティアで積み木を作り、保育園に寄贈するというもの。もう一つは、県産木材を使用した家づくりをしている企業の責任として、その木が育つ森林環境の現状について学ぶ機会を社員に提供したいと考えたからです。
―地元の木を消費しているという点では地域に貢献していますね。
青野
人工林の木は林齢が進むほど二酸化炭素の吸収量が減っていきます。私たちが木造住宅を継続的に建築し、人工林の木を消費することで少なからず地域や環境問題に貢献していると考えています。しかし、消費するだけでは森林は減っていくばかりです。将来を考えると、木を植えて森を育てていかなければいけません。私たちにできることはないかと考えた時に、まずは森林環境に対する正しい知識を身につけることだと思いました。
【※注意】 天然林は伐ってはいけません。
―それで「森ライ」へ依頼されたのですね。
青野
「森への無関心をなくす」という目標に向けて活動をされていることに共感し、東京から代表理事所長の竹垣さんに足を運んでいただきました。竹垣さんには、森林環境の現状についてのレクチャーの時間を普段より長くしてほしいとお願いしました。
プロジェクトを通して意識するようになった「森の大切さ」
積み木づくりに挑戦するスタッフ
―竹垣さんのレクチャーを受けたほかにどのようなことをしたのですか。
青野
「木づかいプロジェクト」は、国産間伐材を使用したワークショップ型のプログラムがいくつもあり、ピースホームではその中の「積み木づくり」に挑戦しました。就業時間外だったにも関わらず社員の半数が参加し、障がい者の作業所でカットした木片を、紙やすりを使って滑らかに磨き、安心・安全な積み木を作りました。完成した積み木は、企業名の焼印を押した専用の木箱に入れ、後日、社員が通っていた保育園に寄贈しました。
完成した積み木はスタッフがお世話になった保育園に寄贈させていただきました
―参加した社員の反応はどうでしたか。
青野
日本の林業の現状や森林が担っているさまざまな働きのほか、森林ボランティア団体は増えているのに森林環境は変化していないという現実など、初めて知ることばかりで、みんな真剣に聞いていました。積み木づくりも積極的に取り組んでいて、自分が作った積み木が子どもたちの遊び道具の一つになることに喜びを感じていたようです。今回のプロジェクトを通して、森の大切さを意識するようになったのではないでしょうか。
森林保全に取り組むようになったきっかけは地球温暖化
森のライフスタイル研究所 代表理事所長の竹垣英信さん
―それは素晴らしい取り組みでしたね。一方で、竹垣さんはピースホームに対してどんな印象を持ちましたか。
竹垣
宮崎に来たのは初めてでしたし、実は、地方の企業からの依頼が実現したのも初めてだったんです。
―そうなんですか!それは驚きです。
竹垣
依頼があった時は、環境問題に対する意識の高さを感じました。住宅建設会社はベテランが多いというイメージがあったのですが、ピースホームさんは若い人が多く、外資系企業のようなオープンな雰囲気でした。物事に対して積極的に楽しんでいる人が多いと感じましたし、造っている家もとてもスタイリッシュで、自然と人間の感性がマッチしている印象でした。

―竹垣さんが森林保全に取り組むようになったきっかけは何でしたか。
竹垣
もともとは環境について関心はなかったんです。しかし、都会が年々暑(熱)くなってきていることに不安を感じるようになりました。温暖化の影響もあるのですが、ヒートアイランド現象も深刻化しています。都会には緑がないというのが原因の一つ。それならば自分たちでできることをやってみようと2003年5月に任意団体としてスタートしました。その頃は、木質バイオマスの利用促進に力を入れていました。
ボランティアには「楽しさ」も大切

―青野さんも共感した「森への無関心をなくす」という目標に対して、これまでどのような取り組みをしてきましたか。
竹垣
2005年に団体としての社会的責任の所在を明確にするために、特定非営利活動(NPO)法人になりました。そして2009年からは、企業や行政との協業による森づくり活動を展開してきました。当時から「森林ボランティア」団体は数多く存在していたのですが、森林は依然として荒れたままという状況でした。その原因の一つが、活動している人たちの高齢化。ボランティアというだけで敷居が高く感じる人も多く、山に木を植えに行くとなると遠い・行きづらい・キツいといったイメージでさらに敬遠されがちです。そのようなイメージを払拭し、森林ボランティアの裾野を広げようと、「楽しさ」を取り入れたアクティビティを展開し現在に至ります。
―具体的にはどのような活動をしてきましたか。
竹垣
若者向けのカルチャーとのコラボを積極的に取り組みました。そのうちの一つ、原宿で開催された若手デザイナーの合同展示会で、森の現状を伝えて植林をしませんかと呼びかけたところ、20代の若者が30人も集まったんです。若い人も環境問題について関心があるんだと手応えを感じました。また、森づくりに積極的に参加する女性たちを「森ギャル」と名付けたところ、メディアに取り上げられ大きな話題になりました。
―森林ボランティアが広く一般に浸透することを目指して、若い人たちへアプローチをしたのですね。
竹垣
植林をして終わりではなく、その地域のことも知ることができる体験にすることで、「楽しかった」「また参加したい」「友達に紹介しよう」と思ってもらい、個人レベルでも森林ボランティア活動を広げていけるような取り組みをしてきました。そのほか、母と子の野外体験や子どもたちの木育支援なども行っています。
「正しいことを楽しむ」ことをモットーに持続的な活動を目指す
完成した実際の積み木
―中でも「木づかいプロジェクト」は、時代の変化とともにニーズが増えているそうですね。
竹垣
東日本大震災でボランティア活動に対する考え方が大きく変化したことやコロナ禍で大人数での活動が難しくなったこと、CSR(企業の社会的責任)が重要視されるようになったことで、企業からの依頼が増えています。オンラインでも参加可能なプロジェクトなので、一回で多くの人と森とをつなぐことができ、そこからさらに広がっていると感じています。

―今後の目標を教えてください。
竹垣
多くの人が森林ともっと向き合うために「木をまなぶ・木にふれる・木をつかう」(3つの木=森)活動の幅をより広げていきたいです。「正しいことを楽しむ」ことをモットーに持続的な活動を目指します。今回、ピースホームさんに宮崎とのご縁を作っていただいたので、宮崎でも森づくり活動をしてみようと新たな目標ができました。一企業の地域貢献活動が、多くの人や環境にプラスの影響を与えるきっかけを作ってくれました。まさに、ピースホームさんは「森への水先案内人」と言えるでしょう。
青野
ありがとうございます。その時はぜひ協力させてください。今回をきっかけに、ピースホームは今後も企業の責任として森林環境問題に対する意識を持ち続けます。また、家族がずっと笑って暮らすことができるよう地球環境にも配慮していきます。